在学・修了者の声

酒井 弘貴さん
(2023年3月修了)
(保険会社勤務)

MBAでは仲間との雑談すら学びにつながる

8年間の経験がたった1冊の経営書にすべて書かれていた

現在勤務している保険会社で8年くらいを過ごしたころ、経営に関する本を読んでいたら、それまでのキャリアで学んできたことがすべてそこに書かれていたのを見て愕然としてしまいました。自分の8年間はたった1冊の本にまとまってしまうのかと思った時、会社のMBA取得制度への立候補を決意しました。一橋MBAは、「理論と現実の往復運動」を教育方針としており、自分にとっては理想的でした。

学びが実践に生きることが楽しくて、どん欲に学習

在学中の研究テーマは、デジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献する人材の特徴を明らかにするというものでした。このテーマの中で何を明らかにしたいのか、それを見つけ出すのに思考の迷路に入り込んでしまうこともあり、精神的にはきつかったのですが、ワークショップを担当していた佐々木将人先生のご指導のおかげで方向が定まりました。その上で自社の社員の協力を得て、まず14名のインタビューを行い、そこから浮かび上がった主要な要素について統計的な調査を行うために約300人のアンケートを実施しました。その結果、変革型リーダーシップスタイルの上司がいる環境や本人の顧客志向が、DX推進に適しているといったことが判ってきました。自社の社員を対象とした調査でしたので、そのデータと分析は、自社のDX人材育成にそのまま適用できる内容となりました。

JBCCに参加した仲間と議論がヒートアップ(左端が酒井さん)JBCCに参加した仲間と
議論がヒートアップ
(左端が酒井さん)

また、1年生の夏に、同期5人で日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)に出場しました。その年の課題は、3Dプリンターなどにも使われる粉末金属に関して、独自の技術を有するベンチャー企業の事業戦略を策定するというものでした。金属メーカーは馴染みがなく、一から調査することになりましたが、仲間と一緒に賑やかに議論したのは、改めて青春の1ページのようで楽しかったですね。コンペの成績は、決勝トーナメント初戦敗退でしたが、その後の勉強意欲にもつながりました。

2年次には、1年次の管理会計の講義の復習も兼ねて、教授のアシスタント(TA)をやったり、学外の社会人勉強会の事務局員を務めるなど、どん欲に学習の機会を得るようにしました。とにかく、MBAでの学びが楽しくて、キャンパスの庭園で時間を忘れて友人と話し込むこともありました。

「完成」のその先を追い求め、成長を続ける

今は、保険金支払部門における経営計画を立案する業務に就いています。MBA2年次に実務家の客員教授による授業を受講しましたが、そこで感じた経営の醍醐味・おもしろさが、経営を考える立場になって改めてよみがえってきます。将来は、自分も経営者となって、社員が仕事に充実感を感じられる職場、社会に価値を提供できていると自負できる会社を作りたいと願っています。

私は日ごろから、「完成」のさらに先を追い求めることを心がけています。一度、自分の中で完成したと思っても、さらに時間をかけて考察を深めたり、異なる視点から見たりしながら考え続けていると、自分でも驚くような完成度の高い思考ができるようになります。こうした努力を積み重ねることで自分自身を成長させて、少しずつでも経営者への道に近づいていきたいと考えています。

(2023年4月)