多様な視点から経営をとらえる
体系的な経営理論の学習と、深いレベルでの論理的思考能力を身につけたいと考え、HMBAへの進学を決めました。
進学前までは、ベンチャー企業で、創業間もない頃から約6年間働いていました。そこでは、仕事を通じて、ゼロからビジネスを構築していく経験を積むことができた一方で、規模が大きくなるにつれて本質的に解決できない問題が増えてきました。その原因は、日々の業務を抱えながらの知識のインプットや、短時間で適切な意思決定を行うための思考能力が欠けていたことだと考えました。
HMBAのカリキュラムでは、幅広い分野の経営理論の学習を、現実の事例に応用しながら学ぶことができて、さらに課題では深いレベルでの論理的思考能力を求められることから、私に欠けていた能力を身につけることができる場所だと考え、進学を決意しました。
HMBAに入学後は、経営戦略、財務会計、マーケティングなどを含め、幅広い分野の講義を受講しました。
1年目の夏学期は経営戦略、財務会計、マーケティングなど、コア科目を中心に履修し、冬学期からは、人材マネジメント、戦略分析、企業評価分析といった選択科目を履修しました。いずれの講義も、予習が必須でほぼ毎週課題も課されるため、学期中は終日自習室かグループワーク室で勉強をするという生活を送っていました。忙しい日々ではあったものの、同級生と切磋琢磨し合いながら勉強に取り組む日々は非常に充実したものでした。
2年目は、ビジネス・エコノミクスや国際金融など、引き続き興味のある分野の講義を受講しながら、所属した戦略ワークショップにおいて、ワークショップ・レポートの作成を中心とした生活を送っていました。ワークショップでは、1年間かけて自身で設定したテーマに対して研究を進めていきます。担当教授からの丁寧な指導に加え、同じワークショップに所属する同級生との互学互習によって、学んできた経営理論のより深い理解や、多角的な考え方を学ぶことができました。
講義の他にも、夏休みに行われる金融プログラム国際研修に2年とも参加しました。この研修では、シンガポール、マレーシア、ベトナム、カンボジアの企業や大学へ訪問させていただき、第一線で働いている方々へインタビューさせていただくことができました。また、HMBAに通う留学生の学習サポートを行うチューターを2年間務め、サポートを通じた私自身の学習と、留学生との交流を持つことができました。
最も変わったと感じるのは、日常で目にする経営事象を多角的な視点で捉えることができるようになった点です。そのようになった理由は、HMBAのカリキュラムの特徴と、多様な同級生との議論が挙げられると思います。
HMBAの講義では、単に理論を覚えるのではなく、現実の経営事象に理論を応用することを通じた学習が主体です。理論を応用することを試みるうえで、その経営事象の背後にあるメカニズムを深く読み解くことを学生は要求されます。このような学習を通じて、経営事象の背後にあるメカニズムについて洞察し、どのような理論でどこまで説明できるのか、あるいはできないのか、といった考え方が身についたと思っています。
さらに、講義中のディスカッションや、課題でのグループワーク、食事やラウンジでの日常会話など、同級生との密接なコミュニケーションをとる機会が、様々な形で存在します。同級生は職務経験も違えば国籍も違うなど、多種多様なバックグラウンドを持っています。そのような同級生との議論を通じて、私には無い視点からの物事の捉え方に気付くことができました。
このような学生生活を通じて、雑誌やニュースなどで日常的に目にする経営事象の捉え方が変わったと感じています。例えば、ある会社の業績が良いというニュースを見た際に、財務的な視点で業績をより正確に捉えるように試み、販売が優れているのか、生産が効率的なのかなどと検討してみる、といった様に考えるようになりました。様々な場面でこのような物事の捉え方が役に立つと考えています。
社会に対してより大きな価値を提供できる人間になりたいと考えています。具体的には、事業環境の変化から、既存の事業モデルの変革を迫られている企業において、その変革に少しでも力になれるような人材を目指しています。
前職では、創業間もないベンチャー企業で、ゼロからビジネスを構築していく経験を積みました。HMBAでは、経営にかかわる幅広い分野の理論と、深く広い論理的思考能力を学ぶことができました。まだまだ力不足ではあるものの、前職での経験と、HMBAで学んだ経営理論と論理的思考能力を合わせて、目標を実現できるように努力していきたいと思っています。
(2015年1月28日)