企業行動の真意を見抜く思考力を養う
経営に関する体系的な知識や深い思考力を身につけたいと考え、進学を決意しました。
私は、以前から経済社会を牽引する人材になりたいと考えていました。そのため、教育学部在籍時から経済や経営に関する学習を進めてきました。ただ、知識は増えていったものの、それだけでは私の夢を実現できないということも感じていました。というのも、現実に生起する事象を「自分の頭で考える力」が欠如していたからです。
HMBAは、このような私にとって最適な学びの場所でした。なぜならば、HMBAは「理論と実践の往復運動」を重視しており、学んだ知識を現実の事象に落とし込んで自分なりの答えを導き出す思考力を身につけられるからです。この能力は、高い水準での理論習得に基づいて問題に取り組もうとするからこそ身につくものだと考えます。
デジタル化やグローバル化がますます進展するなかで、これまでになかった問題が次々に発生しています。HMBAで身につけられる思考力こそが今後の経済社会を牽引する人材に不可欠な能力だと考えたため、進学という選択に思い至りました。
学部の専攻が教育学だったこともあり、経営に関する分野を幅広く学習してきました。
特に夏学期には、コア科目を中心に履修することを通じて、経営に関する素地を涵養することを意識していました。具体的には、財務会計・企業金融論・経営戦略・企業データ分析・古典講読の5つを履修しました。
その一方で、2年次のWS(ワークショップ)配属を踏まえて、冬学期には金融を中心に授業を履修しました。具体的には、金融リスクマネジメントの理論と実務・国際金融・企業財務・金融ビジネス・企業家精神・証券分析とポートフォリオマネジメントの6つを履修しました。
これらのなかで特に印象に残っている科目は、古典講読と国際金融です。どちらの授業も「理論と実践の往復運動」を十分に体感できるものであり、非常に多くのことを学びました。
古典講読は、経営に関する古典を読み、内容を要旨にまとめるとともに、その論旨に基づいて解釈できる現実の事象をケースとして執筆する授業でした。「読み・書き・考える」プロセスを繰り返すこの授業は、経営に関する知識の獲得のみならず、思考力を鍛える良い機会になりました。特に、「書く」プロセスで磨き上げられた論理的思考力と「考える」プロセスで身につけた「理論を現実に適用する力」は、自らの武器になるものと確信しています。
国際金融は、為替相場に関する理論的・実証的分析手法を習得することを主として行いました。毎週のように実証分析を行うなかで、そうしたツールを駆使して国際金融の諸問題を自ら考える力を涵養することができました。加えて、統計的知識を身につけられたことも良かったです。
このように、HMBAの授業においてはきわめて高い負荷がかかります。しかしながら、それだけ苦しむからこそ多くのことを学べるのだと考えます。
最も変化したのは事象の捉え方です。物事の表層をなぞるだけではなく、その背後にある本質を掴もうとする姿勢を身につけることができました。
私がこうした姿勢を身につけることができたのは、「理論と実践の往復運動」を繰り返してきたからだと考えています。授業で培う知識というレンズを通して現実の世界を見ると、レンズなしでは見えなかったものが見えてくることが多々あります。一見すると非合理的に思えるものの実は合理的な企業行動だったという例を、私はこの1年間で複数目にしてきました。
こうして企業行動の真意を見抜こうとする姿勢は、経営に少しでも携わろうとする者にとって不可欠なものと考えます。なぜならば経営者は、対症療法ではなく、事象の背後に潜む真因を見抜いて根本から問題を解決しなければならないからです。今後も「理論と実践の往復運動」を繰り返すことで、さらに自分の思考力を高めていきたいと考えます。
日本経済の活性化に資する人間になっていきたいと考えています。特に、財務や戦略といった面から、企業の持続的かつ中長期的な価値創造を支援していきたいと考えています。そのためにも、HMBAでの2年間をより学び多きものにするとともに、日々精進していきたいと考えています。
(2016年2月29日)